八幡祭の中心となるのが「御神祭・弓引き神事」です。かつては岩佐組と新宅組の二組の氏子が毎年交互に準備組(びっち組)と招待組(よばれ組)に分かれて仕事を務めるのが習わしとされますが、住民が少なくなった現在は町内で協力し行われます。
2月10日午前7時。準備組の役員が、アンサンブルを身にまとい祭りの準備を始めます。ムシロで囲った弓場に弓を立て掛け、竹に左巻きに縄を巻きつけます。さらに、弓場の北側に椎の木を立て、縁起が良いとされるボラを2匹、腹を合わせて飾ります。矢の的はそう木を円形にし99.5cmに伐った竹を8本使い麻紐で縛り作られます。4枚の和紙を貼り合わせ墨で模様を描き、神社へつながる階段の途中に組みます。
2月11日午前4時ごろから最終準備をおこない6時半の弓引き式を迎えます。集まった招待客が弓場のムシロに着席し、神事が始まります。弓引き役は招待組から選ばれた3名の男子。裃を着用し片肌を脱いで2本ずつの矢を3回放ちます。
的は大漁、海上安全の祈願だけでなく、的に使われた「木、白・黒の紙、麻」が家の魔除けになるといわれることから、人々は我先にと的を奪い合います。
また、弓場では古式に則り、「まな板の所作」「謡い」という締めの儀式が行われます。